『  音  ― (3) ― 』

 

 

 

 

     ことん ことん ことん ・・・・

 

いい香と一緒に ジョーが香ばしい湯気を振り撒きつつワゴンを押してきた。

「 ・・・っとぉ〜〜  あ せ〜〜ふ! 」

彼は寄り目になり 目茶苦茶に慎重にワゴンを押す。

「 ?? どうしたのかい ジョー   手伝うよ? 」

ピュンマはさっと立ち上がり ワゴンの側に来た。

「 あ あ〜〜〜 あの 触らないで〜〜〜 

 こ こぼれる よぉ〜〜〜 」

「 え??  ・・・ ああ ほうじ茶 淹れてくれたんだ?

 サンキュ〜〜〜〜 」

「 う うん ・・・ 熱々お湯で淹れたトコ ・・・ 

 う わあ 〜〜  ここの絨毯ってぼこぼこ・・・ うひゃあ 」

 

     ず ごごご ・・・・・ 。

 

リビングに入ってすぐに ワゴンは停滞してしまっている。

「 あ〜 零れた? 」

「 い いや ・・・ な なんとか ・・ 」

「 ふうん?  ― あ〜〜 こりゃ 多すぎだよ 」

「 え な なにが 」

「 お茶の量。  入れ過ぎ・・・ いや 注ぎ過ぎだ。 」

「 え ・・・? 」

「 二ホンのお茶は 茶碗に八分 いや 七分 くらい だろ?

 ジョー 茶碗に口きりいっぱい注いでるから 零れるのさ 」

「 そ そ そうなんだ??  ・・・ あ〜〜〜 

 あ〜〜〜  ・・・ 零れたァ ・・・ 」

「 布巾で拭けばいいさ   あ これ 僕のぶん? 」

「 え ・・・ あぁ その茶碗だよぉ  ・・・ はあ〜〜 着いた〜〜 

 おっと 次の難関が待ち受けてる ぞ ・・・ 」

テーブルの横で 今度はジョーは息を詰めて?? 湯呑みを

 そ〜〜〜〜っとテーブルに移すことに集中している。

「 ・・・っ あち ちち 〜〜〜 」

「 あ 零れた?  手、大丈夫かい 

「 う  うん なんとか ・・・ あ〜〜 また こぼしたぁ 

「 拭けばいいんだよ 気にしない〜〜 

 ふふふ 熱々で美味しそうだねえ 」

「 はあ〜〜  どうぞ!  ピュンマの好きな熱々ほうじ茶 デス 」

「 ありがとう ジョー。  ・・・ ん〜〜〜 ま〜〜〜〜

 御馳走さま ・・・ ああ ほっとするなあ 

 

      ほ〜〜〜〜〜  ・・・・・

 

ピュンマは飲み差しの湯呑みを手にしたまま 特大のため息を吐いた。

「 えへ ・・・ 美味しかった?  よかった〜〜〜

 今日は 大活躍だったんでしょ? 」

「 ウン ・・・ なんか こういう疲労って初めてかもなあ・・・

 気分爽快な疲労っていうの ? 」

「 え  ピュンマも ・・・ 踊る の? 」

「 え〜〜 まさかぁ〜〜〜 僕はず〜〜〜っとちっこい太鼓を

 叩いていただけ さ 」

「 そんなに ― 疲れた ・・? 」

「 ああ ・・・  ホンモノのダンサーさん達の迫力に

 押しつぶされそう でさ ・・・ 」

「 ふうん ・・・ 見たいなあ〜〜

 あ フランはどんなカンジだった?? 

 ピュンマの音で がんがん踊ってた? 」

「 あ う〜〜ん 彼女はず〜っとクラシックを踊ってきたヒトなんだね

 なんか 初めてのリズムにびっくりしてたよ 

「 へえ ・・・  ぼくはダンスとか全然わかんないけど・・・

 ピュンマや アルベルトの音で 踊れるって すごいね 

 ぼくってさ リズム感ゼロで〜〜  音楽 聞くのは好きだけど 」

「 ジョー  君の身体の中にもね ちゃんとリズム感はあるよ

 それは君の祖先からず〜〜〜っと受け継いできたものさ 」

「 ・・・ ふうん ・・・? 」

「 誰でも ほら、音を聞けば自然に こう〜〜〜〜

 むずむずしてくるだろう?  」

「 う〜〜 ん ??  ・・・ そうだなあ〜〜〜・・・

 あ 盆踊り の音とかは ワクワクしたりしたけど 」

「 そのワクワクがリズム感の素さ。

 そのうち足が自然に動きだすよ  

 フランソワーズ達はね その感覚がとても強いヒトたちなのさ 」

「 ・・・ そうなんだ ? 」

「 あ〜〜  お茶 ありがとう! 美味しかったぁ〜〜 」

「 帰国する時にさ お茶っ葉、持って帰れば?

 ほうじ茶ならお湯さえあれば どこでも淹れられるし 」

「 そうだなあ ・・・  う〜ん・・・

このお茶はさ この国のこの気候 ― 湿度とか温度とか の中で

飲むのが一番 じゃないかな 

「  ・・・ふうん?  あ そっか〜〜

 ピュンマの国で一番美味しいのは ピュンマの国のお茶 ってことか 」

「 ― だと思うよ。

 あ〜〜〜 ジョー?  老婆心ながら言っておくけどね 」

「 ?  ( ろ〜ばしん ってなんだろ?? ) 」

「 お茶に限らないけど ・・・ 飲みものとかは

器のギリギリまで入れるんじゃなくて 八分目 さ。

運ぶ時 零さないし 飲むヒトにもいいだろ 」

「 あ  そっか〜〜〜 ピュンマって物知りだね〜〜 」

「 ・・・ あ〜  そんなワケでも ・・・ 」

 

どこの国でも ほとんどのヒトが 親のやり方を見たり教わったり 

― コドモの頃から自然に身につけていていること  

・・・そんなごく当たり前のことに このジャパニーズ・ボーイは 感心するのだ。

 

      ・・・ なんでなのかなあ ? 

      !    あ  そうか ・・・

 

      彼は そういう家庭内伝承? みたいなこと、

      知らないで育ってるんだ ・・・

 

      そうなんだね ・・・

      僕らでも 母親からはかなり厳しく躾けられたもんなあ

      親父は 村長の仕事で忙しかったけど

      家では おっかなかったな〜 よく殴られたし

 

      俺の息子として恥ずかしくないニンゲンになれ って

      

      ・・・ あの頃は うっせ〜な〜 って思ってたけど

      今 ぐさ・・・っと来るよ  うん 

 

「 ・・・ ピュンマ? 」

どうも 思い出シーンに埋没していたらしい。

茶色の瞳が 気がかりそうに覗きこんできた。

 

      ―  あ 。  いっけね〜〜〜

 

      ジョー。 ごめん。 

      君は 知らない んだよね

 

「 あは まあ ちょいと心の隅にとどめておいてくれよな 」

「 うん ありがとう!  そっか〜〜〜 そうだよなあ〜〜

 そっか!  味噌汁とかコーヒーも そうだよね〜〜 」

「 多分 ね ・・・  だけそさ もしかしたら 世界のどこかでは

 器には ナミナミ〜〜〜いっぱい が常識かもしれないし 

「 あは そ〜いうの、面白いねえ 〜〜 

「 ・・・ ああ そうだよね 」

ジョーは ほっんとうに素直に感心し素直に喜んで笑ってい。

 

      ふうん ・・・

      この素直なトコが ほっんと・・・

      ジョーの ジョーたるトコロ なんだなあ

 

 

   ぴんぽ〜〜〜〜ん   ただいまあ〜〜〜

 

明るい声が 玄関のドアが開く音と一緒に響いてきた。

「 あ!  フラン〜〜〜 おかえり 〜〜〜〜 」

茶色毛の仔犬は 耳をぺたんこにして尻尾をぶんぶん振りまわしつつ

玄関に飛んでいってしまった。

「 ・・・ ふふふ ・・・ ま これから彼女にし〜〜っかり

 躾けてもらうんだねえ  びしっとね 」

ピュンマは ちょびっと同情?的な眼差しを

彼の背中に送った。 

 

「 ね〜〜 ジョー。  ピュンマってね〜〜 すごいのよぉ〜〜 

「 お帰り〜〜 フラン お疲れさま 」

ジョーは さっと手を伸ばし買い物袋を受け取った。

「 なあ 買い物、ぼくが行くよ?  リスト、置いてって 」

「 ありがと〜 ジョー。  大丈夫 帰り道のついでだし

 今日はねえ ピュンマがお気に入りのメニュウにしたくて 」

「 ピュンマが?  あ〜〜 当ててみせようか? 」

「 あら わかる? 」

「 ふっふっふ〜〜  知ってるもんね〜〜〜

 フラン特製の ハヤシライス !   ・・・どう? 

「 ぴんぽ〜〜ん あったり〜〜〜〜♪   

 ハヤシライス、 博士もジョーも好きでしょ? 」

「 うん!  トマトとタマネギのいい〜〜味でさ ・・・

 ほんわか甘いけど がっつり牛肉 入ってて〜〜 ぼく 大好き♪ 」

「 うふふふ ・・・ 昨日、商店街のお肉屋さんで

 切り落としの牛肉、たくさん買っておいたの。  パプリカもいれるわ〜〜 

「 ・・・ え それって ピーマンの親玉みたいなヤツ? 」

「 そうよ。 黄色いのがあったから 」

「 あ〜 ぼく  ピーマンは ちょっと ・・・ 苦いよ ね ? 」

ジョーは 苦手の給食を前にした小学生 ・・・の顔になっている。

「 あらあ パプリカは苦くないわよ〜〜

 新鮮なのは 生でもオイシイわ。

 だ〜いじょうぶ、お肉やトマトとおいし〜〜〜く煮込むから 」

「 そ  れなら いいけど 」

「 うふふ〜〜〜  皆 大好きハヤシライス〜〜〜♪ 

 わたしも好きなの〜〜  トマト味って最高よぉ 

 

「 やあ お帰り 」

 

ピュンマも玄関まで出てきた。

「 ピュンマ〜〜〜〜  もうほっんとうに ありがとう〜〜〜〜♪

 お疲れさまでした☆ 」

「 いやあ〜〜  あれでよかったのかなあ 」

「 最高〜〜〜♪  マダムも ヒロ君さん、 あ あのコンテの

 講師のヒトっていうか〜〜 最高の振付師さんでダンサーだけど ―

 もう 大絶賛よ〜〜〜 

「 お役に立てて・・・ってトコだけど。

 ホント 僕はちゃんと勉強してきたわけじゃないからなあ〜

 ダンスとか振り付けの方法とか さ 

「 そ〜れは これからどんどん身に着けてゆけばいいんじゃない?

 貴方の持っている音への感性  ― それが大切 ・・・・

 って マダムがいっつも言ってます〜 」

「 な〜るほど ねえ ・・・ 」

「 ね!  ピュンマ。 これからもお願いね! 」

「 あ ・・・ それは ― う〜ん ・・・ 

 ほら 僕は一応、国家公務員 だし・・・ 国の仕事 山積みだし 」

「 そ〜れは 他にも優秀なお仲間がいるでしょう?

 だ け ど。  ヒロ君さん の振り付けに ノリノリで

 音を出せるのは ―  ピュンマ 世界中で貴方しかいません。 」

「 ・・・ えっと〜〜〜ぉ 」

 

 さあ お茶にしましょ とフランソワーズはぱあ〜〜〜っと笑って

リビングに入っていった。

 

「 ・・・あ〜〜 フランソワーズ ・・・ 」

「 無駄だよ ピュンマ 」

「  え? 」

彼女の荷物を抱えたジョーが 大真面目な顔で言う。

「 無駄だってば。 」

「 なにが 」

「 あの笑顔の時さ だ〜〜れもフランには逆らえないんだ。

 ってか あの笑顔、彼女の最強の武器だからね ・・・

 もう 素直に従うしかない ってこと 

「 ・・・ そ そうなんだ? 

「 君だってさ  フランとサシで勝負して ― 勝てると思う? 」

「 ・・・ う ・・・ それは ・・・ 」

003 は 仲間内で最高の狙撃ヒット率 なのだ。

ソレは 彼らがこの運命に巻き込まれた時から  ― 変わっていない。

 

だから そんな彼女に負け戦をわざわざ挑む愚か者 というか ヒマ人は

いないのだ。

 

「 ね?  こういう日には彼女のいう通〜りに過ごせばいいのさ。

 そうすれば快適で穏やかで平和な毎日を送れるもん  

「 な〜るほど ・・・ ねえ ・・・ 」

 

       ・・・ つまり。

       この邸の実験を握っているのは ― ってことか

 

       そうだよなあ〜〜〜  うん。

       世界の平和 ― は まず 家庭の平和 からか?

 

       女性を笑顔にしておけば 

       世の中、無用の争いは起きない ってか

 

       ・・・ だよなあ 

       女性は 征服したい! ってあまり思わないっぽいし

 

       う〜〜む ・・・

 

ピュンマは腕組みをして唸っている。

「 ・・・ どしたの ピュンマ?  お腹 減り過ぎ? 」

ジョーが ぽん、と肩を叩く。

「 ・・・え ・・・? 

「 ふふふ〜〜  あのね〜〜〜

 今晩 ハヤシライス だって!!!  ピュンマの好きなヤツだよ〜〜  」

「 へ・・・?  はやし らいす ・・・? 」

「 そ(^^♪  あの 牛肉がっつり・トマトとタマネギとろとろ〜〜  

「 あ! アレかあ〜〜  いいねえ いいねえ〜〜 

 ぼく 頑張った甲斐があるってもんだ〜〜 」

あ そっち持つよ、と彼も買い物袋を一つ、 運ぶ。

二人で 結構重い袋をキッチンまで配達する。

「 ・・・ フランソワーズ、 こんな重いの 持ってるんだ? 

「 買い物はぼくがやる〜って言ってるんだけどさ 

 なんか 自分の目で見て買いたいんだって 」

「 あ〜 そうかあ〜〜  この地域には新鮮な野菜とか

 たくさんあるからねえ 」

「 それはそうなんだけど さ。 

 ぼく、買い出しくらい 任せてほしい〜〜 」

「 ま ジョー 君も 野菜や肉の選定眼を磨くことだね。

 君の選択に信頼が置ければ 彼女は任せてくれるようになるよ 」

「 う〜〜〜〜  ・・・ 勉強します ・・・ 」

「 ま 最初は 荷物持ち として買い物のお供をすることさ 

「 ・・・ ウン。 そうする ・・・  ありがと、ピュンマ

 施設に居た時 買い物当番 はあったんだけどさ。

 大型スーパー 行って言われたモノだけを取りあえず

 ワゴンに入れて 運んできた ・・・ってだけだったから 」

「 ど〜れが美味しそうかな〜〜 って 選べばいいのさ。

 ふふふ  ― 世界の平和は  女性を笑顔にすること  とぉ〜〜  」、

「 ???   なに それ???

 あ ピュンマの学校の校歌? 

「 へ??  こうか ・・? なんだ それ 」

「 え  その学校の歌 さ。 独自の歌詞と曲でさあ 

 たいてい最後に ○○しょ〜がっこ〜〜〜 とか入ってる 」

「 へえ ・・・  そういうの、無かったな 

「 校歌 ないの???  ふうん ・・・

 あ 僕の居た教会の施設にも 歌 あったよ

 皆で テーマ・ソング なんて言ってたけどさ 」 

「 そういの、いつ歌うわけ? 」

「 始業式 とか 卒業式 とか。  あ 運動会でも歌ったなあ 」

「 へえ〜〜  結構 音楽に馴染んでるじゃん? 

「 ・・・ そうか なあ 」

「 そうだよ  それに いっつもスマホでなにか聞いてるだろ 」

ピュンマは ジョーのイヤホンを指した。

「 あ これ?  あ〜〜  うん 好きなの、聞いてるよ

 だいたいポップスだけどね  ― あ そっか〜 」

「 そういうこと さ。  皆にとってそれぞれの音があるんじゃないかな 」

「 う〜ん そうだねえ 

「 今回は たまたまフランソワーズのトコのバレエ・カンパニーの

 ニーズに 僕の音が合った ということだろ 

「 そうだけどさ  でもなあ〜〜  

 ぼくから見れば ピュンマも アルベルトも スゴイな〜と思うよ 」

「 ・・・・? 」

「 ぼくって ほっんと デクノボウ だよねえ

 な〜〜んにもできないもん  ダンスなんて全然だめだし

 音楽は そりゃ好きだけど 聞くだけ だし。

 自分から発したり 作ったりは ― できないんだ  

「 ジョー ・・・  なにがいいか は ヒトそれぞれさ 」

「 ・・・ だと いいけど 」

 

   二人とも〜〜〜  手伝ってぇ〜〜〜

 

キッチンから 楽しい声が呼んでいる。

「 あは 行こうか? 招集がかかってる 」

「 あ 即応必須! だもんね〜〜  さあ タマネギ 刻むよ 

「 あ〜〜  アレはちょっと苦手だな〜〜〜 

8番さん と 9番さんは 笑顔で招集されていった。

 

 

  ―  音  ジョーの いや 009の音。

 

彼の音 独特の音を彼は響かせている。 本人は全く意識せずに。

「 ジョー。  君はすごいよ 」

一番最初に気付いたのは ピュンマかもしれない。

 

これまでも戦闘中  ことに状況の悪いとき ―  ジョーの足音は 

全員をほっとさせる。

どんな時でも 実直にしっかり踏みしめて歩く 彼の足音。

それを聞くだけで 仲間たちは落ち着きを取り戻し 現実をしっかりと

注視し ―  時には反撃に転じることもできるのだ。

 

そして  < あの状態 > での独特の音。

 

     カチッ !!!  シュ −−− ・・・・

 

微かな音とともに 彼の姿は 空間溶け込んでしまう。

彼の存在は 可視空間からは消え去るのだ ―  表面上は。

 

   しかし −−−

 

姿は見えないけれど 仲間たちは空間から響いてくる

あの独特の足音を確かめ ますます心を強くする。

 

    ジョーが 闘っている!  さあ サポート するぞ!

 

「 俺は お前の走る音の特徴を知っている。 だから ―   

地下帝国での厳しい戦いの時 004はぽつり、と言った。

 

     あ !  やっぱり???

     そうなんだ!  僕も 知ってる んだよ!

 

反撃にまみれつつ ピュンマはに〜んまり・・・頷いていた。

 

     さあ〜〜 僕にできる最大のサポート するよっ!

 

「 皆! 003とデータを送るよっ

 ヤツらの隙が見えてきたぞ   ジョーを援護だよ 」

 

≪ おう!  オレが行くぜ ≫

 

    シュッ −−−   

 

威勢のいい一言を置いてジェットが 空間から消えた。

 

「 008、行こう 」

ぽん、と鋼鉄の手がピュンマの肩に置かれた。

「 ・・・ 004? 」

「 お前さんも ジョーの音 わかるんだな 」

「 ふふふ ・・・ なあ 004?

 君って 音楽関係の業界のヒトなのかな  」

「 ―  え 」

大変珍しいことなのだが 004は一瞬コトバを失っていた。

「 ふふ〜〜ん やっぱりねえ 

「 ・・・ なぜ そう思った? 」

「 うん 君ってさドルフィンのコンソール盤でさ

 時々 運指 してるよね?  あれってかなりの上級者向けの曲だよね 

「 それがわかるってことはお前さん ・・・ 

「 あは 僕の親父がさ 音楽好きでず〜〜っとラジオが

 流れてたんだ 僕の家って ・・・ 

「 ふ  ん  ―  後でゆっくり話したい。 」

「 おう♪    さあ 皆 !  データ ゆくよっ !! 」

 

音楽談義? の合い間に 彼らは最短時間でその戦闘を勝利で収めた。

 

   ・・・ そんなわけで。

 

4番さん は 8番君の音楽素養をちゃ〜んと知っていたのだ。

 

  ― さて その晩。

 

ギルモア邸では 大変 大変 美味しい晩御飯に 

皆が舌鼓を打ち  ―  フランソワーズの料理に大絶賛を寄せた。

 

ほんわり・ ふんわり ・・・ いい雰囲気のリビングで。

ピュンマは こそ・・・っと ジョーに囁いた。

 

「 ジョー !  やっぱり君は 009 だよ! 」

「 へ???  なに?? 」

「 ああ 君はやっぱり最新最強のサイボーグ009 さ 

「 はあ ・・・? 」

「 僕も 断然アルベルトの意見に賛成だね!

 君は遠からずリーダーとして 我々を引っ張ってゆく存在になるよ 」

「 ・・・ え ・・・ ぼく サブ・パイロットがいいな〜〜 」

「 いやいや  御謙遜を・・・

 君は  ・・・・ 最強だよ  ジョー・シマムラ ! 

「 ・・・ はあ ・・・? 」

 

    だって  あの! 彼女の カレシ をやってるんだもんな!!

 

       これは 全員一致の全員の意見 である。

 

***************************       Fin.      **************************

Last updated : 03.28.2023.                      back     /     index

 

*****************   ひと言  ***************

どうってことないハナシで つまらないですよね ・・・・

短いし  ―  誰も読みにこないから いいか ・・・ (*_*;